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【感想】一筋縄にはいかない本格ミステリ!タイトル通りの短編集(麻耶雄嵩『メルカトルと美袋のための殺人』)

とんでもミステリの鬼才。麻耶雄嵩さん。

どうしたらそんな発想を思いつくのか?

というラストな小説ばかりを刊行しています。

『蛍』や『貴族探偵』が有名な作品ではないでしょうか。

【感想】小説好きが絶対に騙される一冊(麻耶雄嵩『蛍』) 【感想】推理をしない探偵のとんでもミステリ(麻耶雄嵩『貴族探偵』)

今回は、そんな麻耶雄嵩さんのシリーズものを紹介します。

銘探偵メルカトル鮎シリーズです。

短編集の『メルカトルと美袋のための殺人』を紹介します。

推理作家の美袋三条は、知人の別荘で出会った佑美子に刹那的に恋をする。しかし彼女は間もなく死体で発見され、美袋が第一容疑者とされてしまった!事件に巻き込まれやすい美袋と、「解決できない事件など存在しない」と豪語する魔性の銘探偵・メルカトル鮎が挑む巧緻な謎の数々。脱出不能な密室殺人から、関係者全員にアリバイが成立する不可能犯罪まで―奇才が放つ、衝撃本格推理集。(「BOOK」データベースより)

論理的に突拍子のない推理を導き出すメルカトル。

本作には、7つのとんでもミステリが収録されています。

遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる

大垣守の別荘にやってきたメルカトルと美袋。

美袋はそこで佑美子という女性に恋をする。

しかし、翌日。佑美子が何者かに殺されてしまう。

愛する人を失った美袋は犯人探しに躍起になるが。

インパクトはそれほど強くないお話。

「信じるか信じないかは…」みたいな展開のラストでした。

この不思議な感じがメルカトル作品らしさなのですが、いきなりこれはちょっと面食らってしまうかもしれません。

化粧した男の冒険

化粧をした状態でころされていた高松という男。

彼はなぜこのような不思議な恰好で殺されていたのか?

早く現場を去りたいメルカトルは、警察が来る前に犯人を見つけようとしますが…。

これぞメルカトルというオチが待っている物語。

相変わらずひどいというか突拍子がないというか。

好き嫌いがわかれそうなお話でした。

小人閒居為不善

暇を持て余しているメルカトルは仕事の広告を出した。

「身辺に不安、危険を感じている方、相談・調査承ります」

バカにする美袋だったが、年老いた依頼人がメルカトルのもとにやってくる。

彼は、甥に殺されるかもしれないから身を守ってほしいというのだった。

7つの中で一番好きなお話でした。

ラストに至るまでの推理がキレイだし、肝心のメイントリックが珍しく明かされるのでスッキリします。

ただ、最後の最後にモヤっとする展開になってしまうのですが。笑

このオチも含めてとても楽しめる物語です。

水難

旅館で幽霊を見かけた美袋。

メルカトルは本気にしませんが、旅館の女将が幽霊にまつわる話をします。

過去に旅館が土砂で流された際に一人だけ見つからなかった女の子がいるんだとか…。

幽霊の正体を探ろうとした美袋ですが、その最中で殺人事件に遭遇してしまいます。

オチがかなり胸糞悪いお話。

愉快と言えば愉快ですが、ちょっと嫌な話だなと感じました。

謎解き部分は楽しめますが、ラストがちょっとなという感想です。

ノスタルジア

美袋に向けて犯人当て小説を書いたメルカトル。

小説家の威信にかけて絶対に解くと豪語する美袋でしたが…。

作中作として語られる本作。

メルカトルが書いているため、やはり突拍子もないトリックとラストが待っていました。

表現の妙をついたトリック。ぜひ美袋のように騙されてほしいです。笑

彷徨える美袋

何者かに拉致された美袋。

気が付くと藁屑の上で横たわっていました。

どうにかして逃げようとして、行き着いたのはログハウスのようなペンション。

住人に介抱された美袋でしたが、訪れた翌日に殺人事件が起こってしまいます。

メルカトルのとんでもない様子が描かれている本作。

相変わらずぶっ飛んでいるすさまじい探偵でした。

推理はものすごいのですが、性格がひどい。というか人としてひどい。

美袋のラストの言葉がすべてを物語っているお話でした。

シベリア急行西へ

列車内で起こった殺人事件。

列車という密室空間で起こった事件にメルカトルと美袋が挑みます。

わりとオーソドックスな犯人当て作品。

犯人動機がちょっと突拍子ない気もしますが、過去作に比べたら霞むレベルでした。笑

ちなみに、当初はこれがメルカトル最後の事件になる予定だったとか。