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【小説好きが厳選】2020年で面白かった小説10選

おすすめ2020年

どんでん返しが大好きな「小説好きマーケターのたかひで」です。

【#名刺代わりの小説10選】読書好きが選ぶオススメ小説を紹介します!

2020年ももうすぐ終わり。今年もたくさんの小説を読んできました。

カウントしてみたところ67冊。今年は読んだ小説の面白かった率が高かったです。「自分はこの本を知らずに小説好きを語っていたのか…」と反省させられました。

今回はその中でも特に面白かった小説TOP10を紹介します。ひとことと一緒に紹介するので、ぜひ年末年始の小説選びで参考にしてみてください!

10位.今村昌弘『魔眼の匣の殺人』

その日、“魔眼の匣”を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は、予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人に死が訪れ、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに、客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り四十八時間。二人の予言に支配された匣のなかで、生き残り謎を解き明かせるか?! 二十一世紀最高の大型新人による、待望のシリーズ第2弾。

2018年にミステリ賞を総なめにした『屍人荘の殺人』の続編。本作は“予言”を題材にした本格ミステリです。

「二日間で四人が死ぬ」と予言された“匣”。ここに集まったのは全員が初対面でした。しかし、その予言の通りに連続殺人が発生してしまいます。犯人は一体誰なのか?

前作同様に限られた状況下でのミステリが際立っていて楽しめました。一つずつ論理的に解釈することで犯人と動機が浮かび上がってくる。解決シーンは読みごたえがありました。また、事件解決後にも驚きの展開が…。

【感想】解決後にもひと捻り!予言を用いた本格ミステリ(今村昌弘『魔眼の匣の殺人』)

9位.島本理生『ファーストラヴ』

父親殺害の容疑で逮捕された女子大生・環菜。アナウンサー志望という経歴も相まって、事件は大きな話題となるが、動機は不明であった。臨床心理士の由紀は、ノンフィクション執筆のため環菜や、その周囲の人々へ取材をする。そのうちに明らかになってきた少女の過去とは。そして裁判は意外な結末を迎える。第159回直木賞受賞作。(「BOOKデータベース」より)

2021年2月に映画化を控えている作品です。島本理生さんは純文学のイメージがあったのですが、本作はミステリが強めの一冊でした。

父親殺しの容疑で逮捕された女子大生。自分がなぜ父を殺したのか動機を見つけて欲しいと言い出すのです。彼女の身には何が起きていたのか?

調べるにつれてわかってくる彼女の家庭環境。人によって食い違う証言や交友関係。最初は不可解だった事件ですが、すべてはそうなるべくして動いていたことがわかります。

そして、最後にはすべてが繋がりました。王道なミステリではないですが、謎解きを楽しめる一冊でした。

first-love【感想】父を殺した動機は?人間ドラマを描いたミステリ(島本理生『ファーストラヴ』)

8位.阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』

透明人間による不可能犯罪計画と、意外すぎる動機。裁判員裁判×アイドルオタクのアクロバティックな法廷ミステリ。録音された犯行現場の謎と、新米探偵のささやかな特技。クルーズ船内、脱出ゲームのイベントが進行する中での拉致監禁――。一編ずつ、異なった趣向、違った設定で作り上げられた、絢爛多彩、高密度の短編集。『紅蓮館の殺人』のスマッシュヒットで注目をあつめた新鋭が、本格ミステリの魅力と可能性に肉薄する。(「BOOKデータベース」より)

中編ミステリが4つ楽しめる一冊。どれも特定の状況下で起きる事件が謎になっています。

透明人間と普通の人間が共存する世界。透明人間はある人物の殺害を計画していた。という透明人間がどのように殺人を行ったのか?が謎になっている表題作。

クルーズ船で始まった脱出ゲーム中に本当に拉致をされてしまった少年。脱出ゲームからの脱出と犯人からの脱出を同時に行おうとする物語など。

どの作品も提示されている条件から謎の解明ができる、そこに伏線が張られているので謎解きがとても鮮やかです。特に「第13号船室からの脱出」は謎解きの過程から最後のオチまで何もかもが完璧でした。SFミステリが好きなら読む価値だらけの一冊です。

【感想】意外性の詰まったSFミステリ!4つの中編作品集(阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』)

7位.森博嗣『封印再度』

50年前、日本画家・香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る。(「BOOKデータベース」より)

『すべてがFになる』から始まるS&Mシリーズの5作目。50年前に発生した香山家の当主が亡くなった密室殺人。この事件をなぞるかのように、同じ場所で香山家の現在の当主が死んでいた。そこには代々伝わる家宝が関係しているようで…。

ミステリとして楽しめる一冊。犯人はどのようにして密室を作り出したのか。どうやって犯行に及んだのか。家宝に関する謎は解けるのか。解決編は鮮やかで素晴らしかったです。

また本作はタイトルが美しい!

『封印再度』の意味は本を読み終えればわかりますし、英題の『who inside』は密室のことを指している(事件時に部屋にいたのは誰か?)。言葉遊びまで含めて最後まで飽かすことのない作品です。

who-inside【感想】S&Mシリーズ5作目!遊び心満載のタイトルと大胆なトリック(森博嗣『封印再度』)

S&Mシリーズを順番に読む進めたいという方はこちらからチェックしてみてください!

【森博嗣】S&Mシリーズの読む順番は?『すべてがFになる』からなる全10作のあらすじと一緒に紹介!

6位.七河迦南『七つの海を照らす星』

様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと、いるはずのない“七人目”が囁く暗闇のトンネル…七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、“真実”の糸によってつながり、美しい円環を描いて、希望の物語となる。繊細な技巧が紡ぐ短編群が「大きな物語」を創り上げる、第十八回鮎川哲也賞受賞作。(「BOOKデータベース」より)

「七海学園」を舞台に日常の謎が7つ収録された連作短編集。短編だけで切り取ってみてもどれも素晴らしいのですが、作品自体に大きな仕掛けが2つも施されていました。

最後には予想もしていなかったところから急にある真実が降って湧いてきます。あまりにも想定外のことだったので、言葉を失ってしまいました。

若干怪しいと思ってはいたのですが、まんまと欺かれてしまいました。前振りが壮大過ぎて思わず感服してしまいます。

【感想】どんでん返しだけじゃない!作品の仕掛けに思わずニヤリも(七河迦南『七つの海を照らす星』)

5位.綾辻行人『Another 2001』

多くの犠牲者が出た1998年度の〈災厄〉から3年。春から夜見北中三年三組の一員となる生徒たちの中には、3年前の夏、見崎鳴と出会った少年・想の姿があった。
〈死者〉がクラスにまぎれこむ〈現象〉に備えて、今年は特別な〈対策〉を講じる想たちだったが、ある出来事をきっかけに歯車が狂いはじめ、ついに惨劇の幕が開く!
相次ぐ理不尽な“死”の恐怖、そして深まりゆく謎。〈夜見山現象〉史上最凶の〈災厄〉に、想と鳴はどう立ち向かうのか――!?

アニメ、漫画、実写化もされている大人気小説『Another』の続編。前作から3年後の2001年を舞台にした物語です。前作との大きな違いは死者が誰なのかわかっていること。読者には作品の冒頭でわかるようになっています。

しかし、ご安心ください。死者が誰なのか?がわかっていても本作は十分に楽しめます。前作と同じようにいたる所に伏線が張り巡らされているので、ラストは驚きに次ぐ驚きで頭が追い付けません。

800ページあるのに読み始めたら一瞬で物語が終わってました。タイムマシン使ったかなと思うくらいあっという間に読めてしまう。極上のどんでん返しを味わってみてください。

【感想】死者はわかってる?その上で展開される不穏なミステリ(綾辻行人『Another 2001』)

4位.七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』

海を望む街に建つ児童養護施設・七海学園に勤めて三年目となる保育士の北沢春菜は、毎日多忙な仕事に追われつつも、学園の日常に起きるささやかながら不可思議な事件の解明に励んでいた。そんな慌ただしくも幸せな日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる不慮の事故なのか? だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繫がる重要な手がかりが隠されていた――鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く清新な本格ミステリ。(「BOOKデータベース」より)

6位で紹介した『七つの海を照らす星』の続編です。この作品は前作を大きく上回るどんでん返しが用意されていました。事前にオチがスゴイとは聞いていたのですが「ここまでとは…」という感じです。

本作も基本的には日常の謎を題材にしています。前作と異なる点は、冒頭からある事件が提示されていること。文化祭の日に起きた学園での転落事件です。

この転落事件が起きるまでに「学園では何が起こっていたのか?」を短編として描いています。そして、最後の章でとんでもない真実が姿を現します。最後の最後までは全くどんでん返しの予想ができませんでした。さすがにこれを見抜くのは無理ですね…。

オチが素晴らしすぎるのでぜひ読んで欲しいです。尚、『七つの海を照らす星』を読んでからじゃないと面白さは10%くらいになるので、前作から読んでください!

【感想】想像以上に大胆などんでん返し!日常の謎の先にある真実(七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』)

3位.相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』

“すべてが伏線”という触れ込みで話題になっている作品。この謳い文句に嘘はありませんでした。本当に何もかもが伏線でした。

物語は連作短編集になっていて、一話完結の短編が3つ収録されています。その途中に殺人犯の独白が挟まるという感じです。正直、前半はあまり面白くありませんでした。伏線がわざとらしくて「オチわかりやすいな」と思ってしまいました。

ただラスト数十ページで世界が反転します。とんでもない騙され方をしていたと知ったからです。煽り文句の通りで“すべてが伏線”の小説でした。気を付けて読んで思い切り騙されてください。

【感想】すべてが伏線!あなたも絶対に騙される(相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』)

2位.伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。

伊坂幸太郎さんは大好きでほぼ全作読んでいますが、その中でもTOP3に入るほど面白い作品でした。本作の魅力をひとことで表すなら「騙された!」という爽快感です。

私は本に書かれている通りに作品を思い浮かべていました。それなのに現実は全く異なる世界だったのです。さすが伊坂作品と思わされるほど華麗に騙されていました。

しかも、会話のテンポが良いのでスラスラと読めてしまう。長そうに見えるかもしれませんが、ご安心ください。読み始めたらすぐに終わってます。どんでん返しが好きなら絶対に読みましょう!

white-rabbit【感想】これぞ伊坂作品!気付かぬうちに騙されている!(伊坂幸太郎『ホワイトラビット』)

1位.辻堂ゆめ『あの日の交換日記』

「クラスの大杉寧々香を殺します」 私は先生との交換日記にこう書いてみた。その時の先生の反応は? 全7話の連作短編。 いろいろな「ふたり」がやりとりする交換日記には、謎が――。(作者のブログより)

交換日記を題材に描かれる7つの連作短編集。すべての話で最後には驚きが用意されています。しかも、同じようなオチは一つもなく、全部が異なるどんでん返しを展開してくるので最高でした。

最後の最後で明かされる真実は凄すぎて感動しました(語彙力)。記憶を消してもう一度読み返したいくらい、衝撃的な事実の連続だったのです。

また、単なるどんでん返しがすごい作品ではなく、人の温かみや大切さを考えさせられる。気持ちが晴れやかになる。辻村深月さんが好きなら絶対に読んだ方が良い一冊です。

短編自体も短い上に会話が多く読みやすい。小説に慣れていなくても楽しめる小説でした。

【感想】伏線回収は一級品!心温まる7つの短編(辻堂ゆめ『あの日の交換日記』)

年末年始のお供に一冊

私がどんでん返し系が好きということもあり、このような選定になってしまいました。他にも『ツナグ 想い人の心得』や『本日は、お日柄も良く』など感情が揺さぶられる作品も好きでした。

ミステリが伏線大好きな方はこの10冊であれば間違いなく面白いことは保証します! 普段はこうした作品読まないという方でも気になった作品があればぜひ読んでみてください。